
日本航空客室乗務員が6月3日(火)、パイロットが6月5日(木)に東京高裁で判決を迎えます。こうした時に、5月30日、衆議院国土交通委員会で日本共産党の穀田恵二議員が日航の最近の重大不具合続きについて告発し国土交通省に指導改善を迫りました。判決が迫った今、時間がないので一生懸命に質疑を文章に起こしました。

国土交通委員会 2014年5月30日
太田昭宏国土交通大臣
田村明比古航空局長

《穀田恵二委員》
JALが航空機の機体整備、重整備の作業業務を5月19日から5日間、停止ストップ
JALの重整備について聞きます。
JALが航空機の機体整備、重整備の作業業務を5月19日から5日間停止ストップしていると聞きました。JALの羽田航空機整備センターは次のように言っています。「昨年より現業、間接を問わず看過できない不具合事象が連続して発生している。そのため、路線便の運航安全に確保する作業、および緊急性のある業務以外すべての作業業務を5日間停止し、各職場の安全と品質の点検、振り返りの話しこみを実施することとした」こうに通達してるんですね。この内容について国交省はどのように把握し指導しているのか。相次いで不具合事象の内容と国交省としての認識、JALのとった5日間の整備停止措置に対する国交省としての評価、対応などについて述べていただきたいと思います。
(注=重整備とは車の車検にあたる)
《答え》 田村明比古航空局長
この措置は日本国空として最近の事態を深刻に受け止め現場で航空機整備に従事する各人に基本動作の徹底をはかるとともに、現場の意見をくみ上げて再発防止をはかることを目的としたもの
お答え申し上げます。
最近日本航空におきまして、整備マニュアルの手順が順守されていない事案 あるいは整備士としての基本動作がおろそかになっている事案等が発生しているということをふまえまして、5月19日から23日の5日間、羽田の整備センターにおける重整備を止めて関係部門ごとのグループミーティング等を行ったと報告を受けております。この措置は日本国空として最近の事態を深刻に受け止め現場で航空機整備に従事する各人に基本動作の徹底をはかるとともに、現場の意見をくみ上げて再発防止をはかることを目的としたものと聞いております。国土交通省といたしましては、個々の事案に対し日本航空の再発防止策の実施状況につきましてしっかり監視をし、引き続き安全運航のために必要な整備体制が確保されるよう指導監督してまいる所存でございます。
《穀田恵二委員》
「昨今、様々な不具合が連続し、内外に整備に対する信頼が揺らぎ、この状態が止まるのか我々も自信が揺らいでいる」 ― 整備本部長の述懐
「今回の整備を止めて話し合うという重大な決断はショックであり、20数年間整備をやってきていまだかってなかったことだ」 ― 労組委員長
この問題の重要性、深刻性ということについて認識を一致しておかなければならないと思うんですね。同じくセンター長はその文書の中で「その後も不具合事象はおさまらず、非常用装備品や耐空性に影響を及ぼす重大不具合へと拡大する傾向になっている」とこう言っているんですね。さらに「所属するすべてのみなさんに危機意識を持って取り組みを行っていただきたい」と提起しているわけですね。さらにJALの整備本部長は社内の説明会で次のように述べています。「昨今、様々な不具合が連続し、内外に整備に対する信頼が揺らぎ、この状態が止まるのか我々も自信が揺らいでいる」、自分らの自信が揺らいでいるっていうところまで言っています。さらに「14年度がスタートしたけれどもJAや客室乗務員が飛行中骨折する重大インシデント、福岡ではグラハウ作業者が卓にひかれて骨折、成田ではステップから転落してあわやという重大事例が発生、加えて重大不具合が連続している」といことで理由を述べているわけですね。これに対して、いっしょの合同の会議で労組の委員長は「今回の整備を止めて話し合うという重大な決断はショックであり、20数年間整備をやってきていまだかってなかったことだ」と言っているんですね。つまり、5日間止めて、いろんなことについて話し合うなど一度もやったことがないほど大変なことなわけなんですよね。だから、それだけ重大なことだと思うんですね。問題は、かつてないほど事故等の重大事例がなぜ重整備というところで発生しているのか、その原因と背景になにがあるのか、この点について大臣の認識をお聞きしたいと思います。
《答え》 太田昭宏国土交通大臣
これらのトラブルは直ちに航空機の安全性に影響を与えるものではないものの、このまま放置すると将来、運航の安全性に影響をおよぼしかねない
日本国空におきましては整備マニュアルの手順が順守されていない事案や整備士としての基本動作がおろそかになるというような事案が最近発生しており、一覧表も見させていただきました。
これらのトラブルは直ちに航空機の安全性に影響を与えるものではないものの、このまま放置すると将来、運航の安全性に影響をおよぼしかねないということから、日本航空において速やかに改善が図られる必要があると考えています。国交省としまして、日本航空がこれまでに行った個々の事案に対する再発防止策の実施状況について確認をするとともに、今後必要に応じさらに状況をしっかり把握して、厳しく指導するなどして監督を強めたいというふうに思います。
《穀田恵二委員》
私は4月16日、当委員会の一般質問でパイロット不足の問題を取り上げました。その中で大臣も整備士も不足することを指摘していたわけですね。JALの大リストラで整備士不足、ベテラン整備士が少なくなって安全意識や技術力も十分に継承されていない等、背景にあるんじゃないかと、人減らしが背景にあるんじゃないか
ただ、大臣が一覧表を見たと言っているんですが、一覧表の中にはもしこれが見過ごされればエンジン部分にトラブルが起きるという事象もあるんですね。だから安全性に影響がないというわけではないんですね。きわめて、危ないという事まで起きているところに、今の重大な事案があるということは言っておきたいと思うんですね。
私は4月16日、当委員会の一般質問でパイロット不足の問題を取り上げました。その中で大臣も整備士も不足することを指摘していたわけですね。JALの大リストラで整備士不足、ベテラン整備士が少なくなって安全意識や技術力も十分に継承されていない等、背景にあるんじゃないかと、人減らしが背景にあるんじゃないかと私は思うんですね。こういう事態のもとで、国交省としてJALにどのように運航の安全を守らせいくおつもりなのか、大臣の認識決意を合わせてお聞きしたいと思います。
《答え》 太田昭宏国土交通大臣
まあ、現在のところ日本航空自体において整備士の不足という事態にまでは至っていないというふうに思っています。しかし整備部門において基本動作がおろそかになっているような事案が多数、ご指摘のように発生していることは事実でありますもんですから、適切かつ速やかに運航の安全を確保という一点に力を注ぐ必要があるというふうに思っています。安全運航のために必要な整備体制が確保されるように指導監督していきます。
《穀田恵二委員》
労組の委員長 「自分の出身校では技術者である前に人間であれと、どんなに優秀な整備士でもその前に人間として心身とも健全でないと整備するに当たっていろいろのチェックポイントを見逃す。そうした意味で我々は整備に集中できるように人間として健全でいられる労働環境を求めていきたい。それが夜勤や単身赴任の問題、生活に係るお金面であったりする」
あの~大臣ね、それはその通りなんですけど、私ね聞いているとね、なんでこんなこと起きてるかっていいますとね、やはり海外の重整備、これやっているところあるわけですね。当然LALでも分担してやってるわけですけど。そういう事との競争がある、いかに工期を短縮するかということが現場では問われていて、いままでなかった夜勤3交代制が導入されているんですね。こういう重整備のところにね。これが結構、大変で、しかも考え方としてですね、JALに選ばれる整備にととらえている。ですから経営のそういう背景自身にコスト削減がずうっと入っているということがですね。大臣は至っていない、現在そんなこと至っていない、と言いますけれどね、だいたいJALが人減らしやった時にですね、日東航空整備などというのを切っていくわけですね。その時にそれぞれの重整備やるのはね、その、機種によって違う整備をやるってことで、それぞれ免許の性質も違うわけですね。だからそれらを切っていくことによって体制が乱れて、当時ペーパードライバーじゃないのかと私、指摘したんですよ。それほどけっこう混乱が生じたというのがスタートなんですね。そこは見てもらわないと。しかも、今日そういう外国で重整備やるってことが、いわば規制緩和の下でやられて、そのことによって今度は金がかかるから中で少しやるためには無理してもらおうじゃないか、3交代でいこうじゃないかという話までしてるんですよね。だから労組の委員長はその後、実はこう言ってましてね「自分の出身校では技術者である前に人間であれと、どんなに優秀な整備士でもその前に人間として心身とも健全でないと整備するに当たっていろいろのチェックポイントを見逃す。そうした意味で我々は整備に集中できるように人間として健全でいられる労働環境を求めていきたい。それが夜勤や単身赴任の問題、生活に係るお金面であったりする」とこういうことを言ってですね、やっぱり、ストレートには言っていないけれども夜勤の問題をはじめとした労働環境の変化というものがものすごく影響しているということをこの社内会議で言っているわけですね。ですから、そういうこともよく報告で聞いていただいて対処する必要があるんじゃないかということは言っておきます。
もう一つ、パイロット不足で聞きます。4月にとりあげてすぐに、LCCのピーチがパイロット不足で年間2000便ほどを減便するということが発表されました。パイロットが不足し計画通りに人数が確保できないでいるという。その後LCCのマニラもパイロット不足による減便を公表しました。こないだ議論していた時に長期的、中期的、中長期的な短期的な問題だとどころか現実の問題だということが明らかになった。国交省としてこの問題をどのようにとらえ、どういう対策をとろうとしているのか明らかにされたい。
《答え》 田村明比古航空局長
LCC等の我が国の航空業界が直面しているパイロット不足につきましては、深刻な課題であると受け止めております。国土交通省ではパイロット不足への対応といたしまして、昨年12月に交通政策審議会のもとに小委員会を設置しましてパイロットの養成確保のための対策に関し検討をおこなっておりますけれども、先般再開しました自衛隊パイロットの民間での活用に加えまして今後さらなる具体策の検討を進め、夏前をめどに取りまとめを行ない必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
《穀田恵二委員》
たんなるパイロットが不足している話では済まされない。問題の深さというのは公共機関としての安定性はどうかと、安全問題はどうかと、LCCの経営形態含め検討し見直すべき
あまり、かみおうてへん感じするんですけど、ようするに、さらなる具体化と。今、現実におきているわけやからね。対策とらんと、えらいこっちゃやなと思ってるんですね。私はその際に、田村さんね、問題わね、国交省がぎりぎりの運航計画、人員配置を認めていることにあるんじゃないかと思ってるんですね。新聞に書かれてますけれども、メディアも書いてますけれどLCC、機材も機長もギリギリのラインでやっていると。余剰人員は1人から2人と言われている。このことに対し、コメントされたのはだれかは別としてですね、国交省も航空大手では考えられない少なさだということを指摘せざるをえないわけですね。だから、余裕の考え方が違うんですね。1人や2人余っているんじゃなくて、もともとそういう、いざという時の安定性を維持できるかどうかという角度から物を考えているわけじゃないんですよ。コストの面でしか考えていないという現実がある。だから、そういう安定性を維持できるという考え方にもとづいてパイロットを配置させる様にすべきじゃないかと私は思うんです。これが普通の常識だと。コスト削減のためにギリギリの人員配置で運航するのが今述べたLCCの形態ですが、今回のようにコスト削減を優先したことで、利用者に迷惑をかけ、しいては、安全も脅かされるという事態になりかねない。
私はたんなるパイロットが不足している話では済まされないと思うんですね。
問題の深さというのは公共機関としての安定性はどうかと、安全問題はどうかと、LCCの経営形態含め検討し見直すべきじゃないかと思うんですがいかがでしょうか。
《答え》 田村明比古航空局長
LCCは新たな航空事業の創出を通じた国内観光の拡大あるいは訪日旅客の拡大に利するもの
今般、操縦士の病欠等が短期間に集中したことにより、大幅な減便が行われまして利用者に多大な影響を与えたことにつきましては遺憾であると考えております。航空会社においてはですね、予約済みの旅客に対して運航への振り替えですとか料金の払い戻しなど対応に努めるよう指導しているところでございます。一方、LCCは航空機の安全運航というものは大前提としたうえで航空機運航の効率を上げることで単位あたりコストを下げて低価格を実現するビジネスモデルでございます。これで、あの、世界的にもLCCの事故率が高いという統計があるとは承知しておりません。LCCは新たな航空事業の創出を通じた国内観光の拡大あるいは訪日旅客の拡大に利するものと考えております。
国土交通省といたしまして、操縦士養成確保のために対策の推進、それから航空会社に対する安全監査等を通じて安全かつ安定した航空サービスが提供されるように取り組んでまいりたいと考えております。
《穀田恵二委員》
私は公共交通機関として失格だと。他のLCCの事業がうまくいっているか、うまくいっていなどという話をしているんじゃないんですよ。今の事態は公共交通機関として失格だと私は言いたい
パイロット不足の問題の解決については緊急の課題です。この間私一貫して主張し提起してきましたけど今こそ即戦力であるJALで不当解雇されたパイロットを職場に戻すべきだ
病欠が少しぐらい出たぐらいでああいう事が起こるんじゃ困るんですよ。
そう思わなあかんわけですよ。まず。それと監査なんか等やってと言いますけど、その定期監査の対象として人員の問題などについては対象としてないんですよ。ですから、そういう一般論をしゃべっていていいほど甘くない事態になっているということを私言っているんですよ。だってねえ、先ほども言いましたけれどね、JALだってああいういままで20数年間やったことのないような事でやらざるをえない、とかやってるわけじゃないですか。LCCの問題だってこういう問題としてとらまえなくちゃならないと私は思うんですね。私は公共交通機関として失格だと。他のLCCの事業がうまくいっているか、うまくいっていなどという話をしているんじゃないんですよ。今の事態は公共交通機関として失格だと私は言いたい。
で、もしね、田村さんね、今日お見えですけど、鉄道やバスで運転手がいない、病欠した。それで運航を2線減らしますと、仮にJR北海道に運航計画の2割がダメになりましたといったら、どなふうになります。これ、怨嗟の声がわあっと来ませんやろか。どな風になってるんやと。軽くとらえたらあきまへんで。だから、公共交通機関としての問題が問われているんだという角度から物事を深めなくちゃならんと私言っているんですよ。だからLCCの業者のアンケート見ますと「LCCを利用したくない」と回答した人が20数パーセント30%近くいますよ。その中の、最大多い理由はなにか、安全性に不安があるからと言っているわけですね。安全運航だとかなんだとか田村さんおっしゃったけれど、乗っている人たちの一番の心配はここなんですよ。そういうものに見合った形で対策をとらなくちゃならんという風に私は思います。ですから私はここを見過ごしちゃならんと国として推進してきた規制緩和路線自身が問われていて、先ほど述べたようにやっぱり広くですね、検証、検討する時期に来ていると言っておきたい。
最後に一言。パイロット不足の問題の解決については緊急の課題です。この間私一貫して主張し提起してきましたけど今こそ即戦力であるJALで不当解雇されたパイロットを職場に戻すべきだということを主張して今日は質問を終わります。
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