沖縄不屈の結束 琉球新報、沖縄タイムス 両編集局長が語る
しんぶん赤旗日曜版が沖縄の今を県民に寄り添って真剣にジヤーナリズムの精神を発揮し続けている沖縄タイムスと琉球新報の両編集局長の思いを伝えました。
しんぶん赤旗日曜版8月20日号から引用させていただきます。
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「無力感」に追いつかれるな
琉球新報編集局長 普久原(ふくはら) 均 さん
沖縄の新聞として米軍新基地に反対するのは当たり前です。住民の視点に立てば、むしろ
反対しない方が偏っています。
1995年の米兵による少女乱暴事件後、私たちの世論調査で、新基地建設賛成が反対を上回ったことは一度もありません。常に反対が6割を超え、8割に達することもあります。沖縄の土地も空も海も、使い方は県民の民意で決めるべきです。
名護市長選、沖縄県知事選、衆院選の県内選挙区、参院選沖縄選挙区で新基地反対の候補が当選しました。県民は、あらゆる民主主義的手続きで民意を正当に示している。それなのに政府は工事を強行する。政府は県民が諦め、無力感にとらわれるのを待っています。
私たちは「無力感に追いつかれるな」といっています。政府の意図を見抜き、県民を励まし、力を与える。そんな報道に力を入れています。
「人権侵害正す」報道の原点
なにより基地問題は人権の問題です。
米兵犯罪は今も深刻です。米兵が県民を犠牲にする事件を起こしても、基地に逃げ込めばほぼ確実に、証拠隠滅も口裏合わせも可能です。今の米軍基地は治外法権として存在しているからです。
そういう状態を放置していいのか。人権侵害を正す報道はジャーナリズムの原点中の原点です。
オーストラリアで米軍普天間基地配備のオスプレイが墜落しました。昨年12月には名護市沖に墜落しました。
オスプレイの沖縄配備を防衛省が発表したとき、知事をはじめ県内の全市町村長が反対しました。民意を一切無視した政府による配備強行は「沖縄に民主主義を適用しない」というのに等しい。どう見ても、著しい人権侵害です。
しかも日本政府は、オスプレイ配備計画を20年近く隠ぺいしてきました。民主主義の基本である情報の公開性と透明性を欠き、民主主義的な意思表示も踏みにじっている。そういう中で配備を強行し、実際に墜落した。沖縄県民の命をなんだと思っているのか。
必ず関わる問題
沖縄の新聞記者は、どんな問題の担当でも、どこの地域を取材していても、いずれぶつかるのが沖縄戦と米軍基地の問題です。記者生活を続けるうちに、自然と基地問題への意識の鋭さは養われます。
私も入社当時は基地問題への意識は低い記者でしたが、95年の少女乱暴事件が私を根本的に変えました。
沖縄は、民主主義と人権を自分の力で勝ち取ってきた歴史があります。
世界最強の米軍を向こうに回し、沖縄復帰を実現させました。民意を示すことで、人権を一つひとつ勝ち取ってきたのが沖縄の戦後の経験です。そういう体験がある以上、県民はこれからも不屈にたたかい続けると思います。
日々オスプレイの恐怖実感
沖縄タイムス編集局長 石川 達也さん
米軍普天間基地(宜野湾市)に24機配備されているオスプレイの1機が昨年12月、名護市安部沿岸に墜落しました。別の機が同じ日に同基地で胴体着陸し、今回ほかの機が豪州で墜落し、3人の死者を出しました。
24機のうちの3機が事故やトラブルを起こしたことになります。
こんな航空機がはたして安全なのか。日米両政府が言う「安全」をうのみにはできません。
私は、宜野湾市の大謝名(おおじゃな)に住んでいます。すぐ近くをオスプレイが飛んでいます。ヘリモードで通った時の振動は下から来る。落ちてくるかもしれないという恐怖で、大きなストレスがあります。
オスプレイ配備には、「オール沖縄」で政府に撤回を要請し続けてきました。日本政府はアメリカ側に立つのではなく、県民の立場に立ち、配備撤回を求めるべきです。
政府に矛盾点を問い続ける
沖縄タイムスの創刊(1948年)メンバーは戦前から沖縄で新聞記者をしていました。大本営発表をそのまま報道し、結果として悲惨な沖縄戦を招いたという反省をもとに。二度と戦(いくさ)につながるペンをとらない″という思いで立ち上がりました。その基本的なスタンスは、われわれにも引き継がれています。米軍の被害や米軍が駐留することによる矛盾点を追及していく姿勢の根本はここからきています。
戦後70年以上たっても、沖縄の基地問題が解決しない最大の原因は、日本政府の姿勢です。常にアメリカ側の意向に寄り添う形でいろんな施策を日本政府が進めてきました。
実際に被害にあうのは、日本国民たる沖縄県民です。日本政府は主権国家として、誰のために国家を運営していくのかというのを本当に考えてほしい。
世論の6割反対
今年春に沖縄タイムス、朝日新聞、琉球朝日放送との合同で世論調査を実施しました。新基地建設に対しては、6割以上の人が反対です。沖縄の人たちは戦後70年以上、基地による過重な負担を強いられてきました。新たな基地をつくることには、強い憤りを持っています。
日本政府が強硬に工事を進める中、一自治体がどれだけのことができるかは難しいものがあります。翁長知事は、建設ノーのスタンスを貫いて〝あらゆる手段を駆使していく〟と言っている。
炎天下、ゲート前に座り込む県民の行動には頭が下がる思いです。
われわれメディアは、何をすべきか。沖縄に根を張る新聞社として、新基地建設の矛盾を客観的に伝え続けることだと思っています。
われわれ報道にいる人間としてはあきらめるわけにはいきません。新基地建設という不条理な話を〝もう何十年もたったからいいです〟とはならない。
時の権力に対して、一人ひとりの力は小さいけれども、みんながその力を合わせれば、動かすここはできるんじゃないかと思っています。
これからも変わらず、矛盾点や違和感を政府にも発し続けます。そのスタンスは県民や読者がしっかり支持してくれると確信しています。
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