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2017年3月 9日 (木)

国・東電の責任を明らかにし、住民に寄り添った施策を

 東日本大震災から6年を迎える今、原発事故への対応について、現状をどう認識し対応すればよいのだろうか指針がほしいと思っていました。3月8日原発事故と人権ネットワークが緊急提言を行ったことを知りました。
 早速、全文と要旨をよんで総合的な指針が示されているように思いました。
要旨を紹介させていただきます。

 原発事故と人権ネットワークは、原発事故被害の賠償訴訟の弁護団や、法律家、科学者、ジャーナリストなどの11団体で構成されています。

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「国・東電の責任を明らかにし、住民に寄り添った施策を― 原発事故6年を経過するにあたって、私たちの緊急提言」の「要旨」は次の通りです。

                                    2017年 3月 8日
                                     原発と人権ネットワーク

1:あらゆる政策について、行政区画による官僚的、画一的な対応を改め、実態に即した対応をすること。

政府の施策の最大の問題は、地域や生活の実態を詳細に見ることなく、住民を行政区画や地域で分断し、一方的に、補償など復興施策や帰還政策の「線引き」を行っていることです。この姿勢を改め、被災者ひとりひとりの実態を直視した対応が求められています。 今回の事故に対する政府・東電の対応は、端的に言って、「差別」と「分断」です。原発による放射能汚染状況は、エリアと自然状況で、区別されることはあっても、それ以外で違いが出てくるものではありません。
ところが政府の対策は、自治体やその中の「字」の違いで、避難についても補償についても「差別」し、住民の中に亀裂を生みました。道一つ隔てて、あるいは、入り組んでいても、地域的なコミュニティが形成されていても、一切お構いなしで、行政区画による官僚的な「対策」が進められました。その結果、住民の間に深刻な溝ができ、被災者の中に「差別」が生まれています。

2:帰還政策では、指定解除、住民帰還と補償を結びつける考え方を捨て、現実に被災者の生活が成り立ち、事故前と同様な生活が可能になるよう、生活補償を継続、拡充すること。

国は、「除染」を実施し、「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」について「安全が回復された」として一方的に「安全」を押しつけ、帰還を強制しています。
しかし、この政策は不合理で、著しく住民を苦しめています。なによりも、指定を解除し「帰還可能」とすることと、補償の打ち切りを結びつけることで避難者に「帰還」を強制しています。しかも、この強制が上記1の「線引き」を前提に、画一的に推し進められていることが更に被災者を苦しめることとなっています。
こうした「帰還」を強制する政策は直ちに中止し、全ての被災者に、その必要性と実態に合った補償を継続・徹底すべきです。

3:指定区域外の避難者(「自主避難者」)への住宅供給措置の打ち切りを中止し、これまで通り住居を確保、生活を保障すること。

原発事故で、避難の指定を受けた地域以外からも、多数の避難者が全国に避難しています。「自主避難者」と呼ばれ、あたかも自分たちで勝手に住居を移したような見方さえされています。これらの人たちにも、住宅支援などがされていますが、政府、東電はこの3月、この住宅支援を打ち切ろうとしています。
家を失うことは、生活が破綻するということであり、人間の「生きる権利」を奪うものです。国と東電は、被災の実態を見ずに人々の住居を一方的に奪うことをやめ、その責任において被災者の「生きる権利」の保障に向かうべきです。

4:営業損害賠償にも、さらに積極的に対応をすること

営業損害賠償についても、「原発事故との相当因果関係が必要だ」との主張から、要求があっても支払われなかったり、減額されたり、打ち切られる例も広がっています。
原発事故が事業に与えた打撃が明らかである限り、無条件の賠償がされるべきです。

5-1:健康対策については、行政区画による住民への選別、差別をやめ、予防原則に沿って、地域の放射能汚染調査と住民の健康調査を徹底させ、生活支援、医療費の無償供与などを実施すること

原発事故による放射能汚染は、政府、東電の調査による地域だけでなく、福島県全域、あるいは近接各都県のホットスポットの存在など広範に広がっています。政府、東電は、行政区画による住民の差別、選別をやめるとともに、その被害が後日どんな形で現れてくるかわからないことを前提にして、予防原則に沿って、対策を進めるべきです。
政府は、まず、自治体の協力を得て、福島にとどまらず、環境省の放射能汚染状況重点調査地域の全てを含め、地域のモニターを増やしてデータを蓄積していくべきです。必要な地域全域、全戸の汚染状況を調査し、全住民の健康調査を実施し、これからの被害対策に役立てていくべきです。
また、甲状腺がん、呼吸器疾患などについて、科学的な因果関係が十分証明されない状況でも、十分な対応が必要です。

5-2:健康手帳の配布、それを活用できる体制の整備につとめること

健康調査をどこでも誰でも、無料で受けられる制度と体制を作り、被害が明らかになった場合には、十分な手当がなされるようにすべきです。
そのためには、被災の可能性が出ている全域にわたって、健康手帳を配布し、活用できる体制を整えるべきだと考えます。
健康調査の実行にあたっては、これまでも、住民個人に調査内容を伝えなかったり、客観的データを公表しなかったり、地域や各住居の調査が方法は曖昧だったり、問題が指摘されています。こうしたことがないよう、積極的な対応が求められています。

6:住民の被害について、単なる経済的な積み上げだけでない調査を徹底すること。指定区域外からの避難者も含め、改めて被害の実態を調べ、責任を持って対応すること

原発事故の被害は、単にこれまでの住居や生活を奪われるということではなく、被災者の人生、そして地域の人々のつながりや自然とのかかわり、祖先や古くからの伝統とのつながりなど、ふるさとの文化そのものを破壊しました。
避難した住民は、指示された人も、されなかった人も、事故がなければ自らの責任でそれぞれが希望を持って生活していたはずです。何の理由もなくその生活を奪われた被災者は、いくら賠償金を積まれても満足できません。「謝れ、償え、原発をなくせ」という要求は、こんなことが世界中、どこでも再び起きない確約で初めて癒されるでしょう。
破壊されたのは、ふるさとの文化であり、金銭に換えられるものはわずかです。国、東電は、そのことに思いを致し、経済的な積み上げでははかれないこうした被害の実態に正面から向き合い、責任を持って対応すべきです。

7:被災者については、指定区域内、指定区域外からの避難であることにとらわれず、今後の生活設計での自主的選択を尊重し、選別、差別なく対応すること

既に「差別」の問題を指摘したように、原発事故が引き起こした大きな問題のひとつは、住民の中に、避難した人、残った人の生活上の事情や、区域の線引きによる補償などによって、感情的な齟齬が生まれたことです。政府、東電はこれを利用して責任を回避する姿勢を続けています。事故を受けて、10数万の県民が避難し、190万の人は避難はしませんでした。しかし、どちらの場合も健康不安やコミュニティの破壊、喪失、そして変質、変容に直面し、苦しんでいることに変わりはありません。
原発被害はいまなお継続、拡大しており、被害は回復していません。しかし例えば、仮に被害回復の方策が見つかり、十分の補償がされたとしたとしても、新しい土地での生活を発展させるか、帰還して生活を再建するかの選択は、被災者個々が自主的に判断するべきであり、国、東電の対応策は、このことを尊重したものでなくてはなりません。
事故から既に6年、被災者の事情も、周囲の環境も変化しています。この観点に立って、国と東電は、被災者ひとりひとり、個々の事情を丁寧に聞き、対応策を講じるべきです。

8:住宅地のほか、農地、山林、動植物の汚染についても、正確な調査をし、必要な対策を講ずること

福島県内の「除染」作業は、住宅の周辺、道路、公共施設などを中心に進められ、一定の効果を上げているとみることができます。しかし、「除染」は、20ミリシーベルトを基準として行われていますが、「除染」した地域でも、放射能汚染は残り、生活条件は整備されていません。その土地で、元の生活を営む条件が整ったとはとても言えません。
にもかかわらず、国は「除染」によって安全が回復された、と一方的に「安全」を押しつけ、帰還を強制しています。
もともと事故によって、放射性物質がどう飛散し、地域がどう汚染されたかについて、継続的なきちんとした調査行われていません。例えば、各地で記録されている線量計のデータにしても、地表や違う高さについてはわかりませんし、一層きめ細かく記録され、継続的に住民に知らされることが必要です。
「放射性物質は無主物」(なのだから東電として責任を負わなくて良い)などといった詭弁を弄することなく、法的責任の上に立って、徹底的な継続調査を実施し、その上で対策を講ずべきです。
「里山除染」「フォローアップ除染」などはどうしても必要ですし、新しい技術開発も必要でしょう。除染が届かない農地や山林の汚染、自然界に生息する動物たちの汚染に対応した管理体制も必要です。

9:中間貯蔵施設の設置については、あくまでも住民の意思を尊重し、正確な情報をもとに丁寧な合意形成に努めること、

現在、福島県内の各所では、フレコンバックに詰め込まれた放射性廃棄物が住居に隣接する農地などいたる所に仮置きされています。一部で中間貯蔵施設の建設が急がれていますが、設置に当たっては、住民の意見に十分耳を傾け、住民同士の合意形成を最大限尊重しながら、進めるべきです。
中間貯蔵施設については、搬入から30年以内に県外で最終処分するとされていますが、その点に住民は極めて大きな不安を持っています。正確な情報をもとにした丁寧な合意形成に努めるべきです。
また、「安全が回復された」として避難指示解除準備区域及び居住制限区域を解除し、帰還を強制しようとする政策は、廃棄物を現状のままにしては、帰還者に放射性廃棄物とともに生活することを強いるに等しいもので、はなはだしい人権侵害と言わなければなりません。少なくとも中間貯蔵設備の設置が現実化し仮置場が解消するまでは帰還を事実上強制するような政策は採るべきではありません。

10:国と東電は、福島第一原発の事故収束、廃炉作業の方針について、少なくとも100年―200年単位の長期的見通しを持って、冷静に解決策を検討し、住民の理解を得つつ、放射能の飛散がこれ以上ないよう、事故炉を遮蔽、隔離する方策も検討すること

昨年3月、福島大学で開催した第3回「原発と人権」全国研究・交流集会では、破壊された事故炉の活動をどう収束させ、廃炉にするかについての「中長期ロードマップ」について深刻な疑問が出されました。燃料の取り出しから廃炉作業を経て更地にするという道筋はとても、30-40年で達成できるものではないと指摘され、「環境への放射性物質放出と被曝労働、費用を最小にするには、当面放射能を隔離・管理する作業をし、燃料取り出しは100-200年後に行うべきではないか」という意見も出されました。
被災住民からすればそのような意見を容易に受け入れられないことは当然ですが、核燃料がメルトダウンし、炉を破壊する事態になっている現在、私たちの世代で「福島原発事故」を解決できないことは明らかです。
事故を起こした私たちの世代で、この問題が解決できないこと、結局、事故現場の周辺の住民に世代を超えた負担を負わせることになることは、非常に残念なことです。しかし、私たちはこの事実を事実として受け止め、こうした処理の方法も冷静かつ真摯に検討すべきであり、周辺の住民の生活再建についても、事故の収束、廃炉作業の見通しを前提に検討しなくてはなりません。原発をどうしていくか、の議論を深めていくためにも、この方策について、国民的な論議を起こしていくべきだと考えます。

11:自治体は国の施策に追従するのではなく、主体的に住民の要求を組み上げ、住民の立場に立って国と東電に対応策を要求すること

今回大きな被害を受けた自治体は、これまで原発を地域開発の重要な施策と位置づけ、国策に沿った形で原発を推進してきました。しかし、その政策が誤りだったことが明らかになったいま、国や東電の無責任な姿勢を住民の立場から糾し、地域と住民の要求を実現するため先頭に立って努力することが求められています。具体的な施策について、自治体は国の施策をこなして住民に伝える姿勢ではなく、住民の要求から出発した施策を国や東電に求める姿勢に転換すべきです。例えば、福島県内の自治体は、全県民の要求である「福島全原発の廃炉と自然エネルギーへの転換」の運動の先頭に立つべきです。
地震、津波から原発の破壊に至った事故発生のメカニズム、原因も依然、明らかではありません。廃棄物処理、残土処理の長期的見通しもあいまいです。自治体はこれらについて、情報公開を徹底し、国や東電に積極的に働きかけていくことが求められています。

12-1:原発労働の中間搾取などの違法な実態を改め、労働者の健康管理を徹底すること。

原発労働については、事故直後こそさまざまに語られましたが、その後は忘れられたように放置されてきています。しかし、ますます危険になりかねない労働が、幾重にも積み重ねられた下請け構造の中で、作業費も中間搾取されている状況は変わっていません。
政府は原発労働者の契約関係と作業実態について、労働法規に基づいて調査し、違法状態を改めるとともに、除染労働者について健康管理を徹底すべきです。これは急務です。

12-2:除染労働についても、同様に作業と健康の管理を徹底すること

除染に当たる労働者の契約、作業形態、被曝状況についても、ほとんど明らかにされないまま行われ、健康についても十分管理されていない状況があります。原発労働者と同様に線量計の携帯による対応策、健康管理の徹底が必要です。

13:問題解決のための費用負担について、十分な情報公開の下で、道筋を明確にし、国民合意の中で進める方針を確立し、議論を始めること。

原発事故の被害については、原子力賠償責任法で措置することが決められ、50億円からスタートしましたが、既に1961年には原子力産業会議は、最大3兆7300億円と計算していました。現在の事故の損害額は21兆5000億円とも25兆円とも言われています。この費用を最終的にどこが負担するか。東電を破産させて国が補償しても、また電気料金に上乗せすることにしても、どちらの場合も、国民が負担しなければならないことは間違いありません。このことを明確にし、国と東電は法的責任を認め、その上で、国民的な議論を起こし、民主的な解決策を示すべきです。
さらに、国は原発再稼働を推進していますが、新たな原発事故が起きた際の備えをほとんどしていません。たとえ再稼働していなくとも、核燃料がある限り事故の可能性はあり、早急に資金的な賠償の備えを強化すべきです。

pencil 原発と人権ネッワークのホームページは
http://genpatsu-jinken.net/

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