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2016年8月23日 (火)

「戦わないために、今、闘っているの」  最後の証言

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「沖縄戦 最後の証言」
おじい・おばあが米軍基地建設に抵抗する理由
 森住卓 著 フォトドキュメント
新日本出版社発行

 ふと目に留まり購入しました。

辺野古新基地建設反対、東村高江へのヘリパット建設は許さないと、闘いに参加している8人のおじい・おばあが自らの沖縄戦の体験をインタビューで紹介しています。

 どの証言にも涙しながら読み進みました。
一人でも多くの人たちに読んでほしいと願って一部を紹介させていただきます。


沖縄戦悲劇の始まり、サイパン島を生き延びて

     横田チヨ子さん(87歳)

〝戦わないために、今、闘っているの〟

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(中略)

 捕虜となる

 二晩ほど山の中を彷徨(さまよ)った。
 父、兄を失い、母は行方不明。自分ひとりで姉のお産が来たらどうしようという不安があった。母が父のいるところに戻ってくるんじゃないかという気がして、結局、父たちの遺体から離れて遠くに逃げることができなかった。
 「日本人は全滅した、自分たち二人しか生き残っていない」と思いつめたチヨ子さんは、海に入って死のうと兄嫁を誘った。しかし、兄嫁は「お父さんは死ぬなと言ったよ」と、海に入るのをいやがる。それでも、自分が先になって海に入っていった。現在バンザイクリフと呼ばれている崖の近くにある遠浅の海だった。
 何時間か海水につかっていたが、死にきれなかった。びしよ濡れで海から上がり、壕を見つけた。逃げ込んだ壕には住民がたくさん隠れていた。生き残ったのは自分たちだけだと思っていたチヨ子さんたちにとって、たくさんの住民がいたことは心強かった。
 そこで知り合った女の子と、近くのスイカ畑にスイカを取りに行くことにした。
 のどの渇きを潤すスイカに夢中で、畑の向こうの丘に米兵が立っているのが見えなかった。すぐに米兵の射撃が始まった。怖くてスイカを抱えたまま俯せていた。銀バエが体中にたかって、払いのけても、払いのけても、体中にたかってきた。周りには死体がごろごろ転かっていた。何時間もじっと動かず、死んだふりをしていた。暗くなって顔を上げると、チヨ子さんを死んでいると思った米兵が去って行くのがわかった。
 スイカを抱えて兄嫁のいる壕に戻った。やられたと思っていた兄嫁はチヨ子さんの姿を見て泣いた。
 翌日から米軍が「戦争は終わった。デテコイ、デテコイ」と、拡声器を使って投降を呼びかけてきた。その二日後に手榴弾が投げ込まれた。出口近くにいた人たちが負傷し、そして捕虜になっていった。
 捕虜になった人が収容所で、チヨ子さんの恩師・半田先生にチヨ子さんたちが壕に隠れていることを告げたらしい。半田先生が8月24日か25日ころ、隠れているチヨ子さんのところにやって来て、捕虜になるよう説得した。近くのアダンの木の下や壕に隠れていた住民たちに、チヨ子さんは「私の先生が迎えに来ているので、みなさん出ましょう」と訴えた。この呼びかけに応えて、二(名が出て行った。
 収容所でも、チヨ子さんは軍国少女のマインドコントロールから解放されなかった。
 「敵からの食べ物はもらわない」と言って何も食べないでいると、「国と国の戦争だから、あなた方には関係ないこと。敵悔心をもたないで」と、日系米兵に言われた。そのことを今も鮮明に思い出すという。

 サイパンで止めておけば……

 「いろんな本を読んでわかってきたことだけど、サイパンで戦争を止めておけば東京大空襲もなかったし、沖縄戦にもならなかったし、広島、長崎に原爆も落とされなかったし、満州の悲劇もなかった」とチヨ子さんは強く思っている。
 「『日本は勝つ。神の国だ』と洗脳されていたことが恐ろしい。だから今、戦争反対の運動にのめり込んで、平和のために語り部になっているの」
 今、チヨ子さんは米海兵隊普天間基地の近くに住んでいる。オスプレイが配備され、昼夜を問わず激しい訓練が行なわれている。「オスプレイの音が、サイパンで聞いた米軍の戦車の音と重なって、夜寝られなくなるの」と顔をゆがめた。
 「辺野古に新しい基地を作って、戦争になったらここが攻撃されるのよ。沖縄の人たちがみな、やられるのよ。二度と私と同じような目に遭ってほしくない。だから座り込んでいるの。戦わないために、今、闘っているの」
 と、元気に座り込むチヨ子さんの隣で、沖縄戦を体験した島袋文子さん(87歳)が黙ってうなずいていた。

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