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2012年8月10日 (金)

命の限り訴え続けます 長崎平和祈念式典 8月9日

       長崎・平和への誓い 2012年 
 
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 67年前の今日、この浦上の上空に原子爆弾が投下され、数千度の熱線、強烈な爆風、想像を絶する放射線を浴びせられ、一瞬にして市街地は廃虚と化し、無防備の市民十数万人が死傷したあの凄惨(せいさん)な光景が昨日の出来事のように鮮明によみがえり、この胸が締め付けられる思いです。

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 私は当時15歳、自宅は原爆投下地点から約700メートル西の城山町にあり、当日は、3キロ南の三菱電機の地下工場で軍需品の生産に従事しておりました。何の前触れもなく停電し、トンネル内が真っ暗になり、一呼吸して、「ドーン」と強烈な爆風でその場に吹き倒されました。気がつくと入り口の方が騒然として外の工場、事務所にいた人たちがなだれ込んでおりました。「工場は全滅だー」と殺気立った声で叫んでいました。懐中電灯で照らすとほとんどの人が負傷しており、手の施しようがありませんでした。
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(8月10日に撮影=爆心地付近)
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(8月10日撮影)
 しばらくして、友人と2人で工場を出て城山の自宅へ向かいました。港の対岸にある県庁庁舎が延焼中で、工場前の海岸通りは負傷者が助けを求めて右往左往しておりました。旭町の住宅街は火災中で通れず、山越えしようと稲佐山へ向かいました。3合目くらいに入りましたが、木は倒れ、あちこちに煙が立ち込め、陰を求めて負傷者が10人、20人とたむろしており、息絶えた子どもを抱きしめてうなだれている母親、遺体に寄り添って泣きじゃくる子ども、「水をくれー」と叫ぶ声、市街地を見下ろすと、見渡す限り街は廃虚と化し、煙の中には大型鉄筋の残骸が突き出していました。淵(ふち)神社に出て梁川橋まで煙の中を一気に走り、やっとの思いで抜け出しました。橋の上には人、馬の黒焦げた遺体が散乱し、遺体の中には口から内臓が飛び出しているものもありました。三菱製鋼の工場はアメのように曲がり、工場の中から必死に助けを求める悲鳴が聞こえてきましたが、どうすることも出来なかったので浦上川へ下りました。川の中には焼け焦げた人など無数の負傷者が水を求めて折り重なるように倒れており、足の踏み場もないくらいで、流れている遺体もありました。上流へ急ぎましたが次の竹岩橋が真ん中から折れて川に落ちており、その隙間を抜けて城山の石段を上り、道に出たところ、近くの三菱製鋼の鉄くずの置き場の山ほど積んでいた鉄くずが真っ赤に焼けて、まるで溶鉱炉のようになっておりました。これでは人間はひとたまりもないと思いました。
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(8月10日撮影)
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(8月10日 岩川町で撮影)
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(8月10日撮影)

 赤茶けた畑の中を我が家へ急ぎました。家は跡形もなく、近くに母と弟の黒焦げた遺体が並べてありました。父が大やけどを負いながらも先に帰って重傷を負った妹2人、弟1人を防空壕(ごう)に寝かせていました。口も利けず、目も見えず、水も飲めず苦しさにうめくのが哀れで早く楽になれればいいと思いました。夜になっても周囲の山々が赤々と燃えていました。散らばっている木片を集めて母と弟の遺体を火葬しました。肉親の行く方も知れず亡くなった多くの人々のことを思えば、親、兄弟の最後を見届けることができたことで悲しみの中にも救われた思いになりました。妹2人、弟1人は5日後に息を引きとりました。
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(多くの人が水を求め、汚い水も飲みました)
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(2012年8月9日の長崎の朝です)

 戦争がなければ、核兵器がなければこの悲劇は起こらなかった。いかなる国の核兵器も廃絶し、戦争のない平和な社会を目指して命の限り訴え続けることをお誓い申しあげ、15万余の犠牲者の霊のご冥福をお祈りいたしますと共に、今日もなお後遺症に苦しんでおられます方々の一日も早いご快復を祈念いたしまして平和への誓いといたします。

 平成24年8月9日

 被爆者代表 中島正徳

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